大判例

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京都地方裁判所 昭和55年(わ)666号 判決

一 本店の所在地

京都市右京区西京極南大入町七番地

法人の名称

株式会社岩井物産

代表者の住所

同市西京区川島権田町四三番地の六二

代表者の氏名

岩井彬

二 本店の所在地

同市南区八条内田町一七番地

法人の名称

株式会社岩井物産サービス

代表者の住所

同市西京区川島権田町四三番地の六二

代表者の氏名

岩井彬

三 本籍

同市南区四ツ塚町一二番地

住居

同市西京区川島権田町四三番地の六二

会社役員

岩井彬

昭和一七年一月二八日生

右被告人らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官鈴木和宏出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社岩井物産を罰金一二〇〇万円に、被告人株式会社岩井物産サービスを罰金八〇万円に、被告人岩井彬を懲役一〇月に各処する。

被告人岩井彬に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社岩井物産は、京都市右京区西京極南大入町七番地に本店を置き、観光みやげ品の製造販売業を営むもの、被告人株式会社岩井物産サービスは、同市南区八条内田町一七番地に本店を置き、観光みやげ品の小売業を営むもの、被告人岩井彬は、右両被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人岩井彬は、右両被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和五一年七月一日から同五二年六月三〇日までの事業年度における被告人株式会社岩井物産の所得金額は五〇四六万四四七五円で、これに対する法人税額は一八一一万九二〇〇円であったにもかかわらず、公表経理上関係会社である被告人株式会社岩井物産サービスに対する売上げの一部を除外するなどし、これによって得た資金を架空名義の定期預金等にするなどして所得を秘匿した上、同五二年八月三〇日、京都市右京区西院上花田町一〇番地所在の所轄右京税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の被告人株式会社岩井物産の所得金額は一〇五二万三五七四円で、これに対する法人税額は二一四万二八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告にかかる法人税額との差額一五九七万六四〇〇円を免れ

第二  同五二年七月一日から同五三年六月三〇日までの事業年度における被告人株式会社岩井物産の所得金額は二〇五一万六七一円で、これに対する法人税額は五九八万五五〇〇円であったにもかかわらず、前同様の方法で所得を秘匿した上、同五三年八月三一日、前記右京税務署において、同税務署長に対し右事業年度の被告人株式会社岩井物産の所得金額は八三六万二二九六円の欠損であり、これに対する法人税額は無い旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額五九八万五五〇〇円を免れ

第三  同五三年七月一日から同五四年六月三〇日までの事業年度における被告人株式会社岩井物産の所得金額は八〇一三万九〇八六円で、これに対する法人税額は三〇〇八万三九〇〇円であったにもかかわらず、前同様の方法で所得を秘匿した上、同五四年八月三一日、前記右京税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の被告人株式会社岩井物産の所得金額は二八一万五三五八円で、これに対する法人税額は無い旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額三〇〇八万三九〇〇円を免れ

第四  同五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人株式会社岩井物産サービスの所得金額は六一八万四九四〇円で、これに対する法人税額は一七二万四五〇〇円であったにもかかわらず、公表経理上売上げの一部を除外し、これによって得た資金を架空名義の定期預金等にするなどして所匿を秘匿した上、同五三年二月二八日、京都市下京区間之町通五条下る大津町八番地所在の所轄下京税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の被告人株式会社岩井物産サービスの所得金額は一四万六〇八〇円で、これに対する法人税額は三万三九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告にかかる法人税額との差額一六九万六〇〇円を免れ

第五  同五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人株式会社岩井物産サービスの所得金額は五七八万八九六六円で、これに対する法人税額は一六一万三五〇〇円であったにもかかわらず、前同様の方法で所得を秘匿した上、同五四年二月二六日、前記下京税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の被告人株式会社岩井物産サービスの所得金額は一三三万九八五〇円の欠損であり、これに対する法人税額は無い旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額一六一万三五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(検第一四二号)

一  被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検第一一八号ないし第一四一号)

一  谷口慶子の検察官に対する供述調書(検第八〇号)

一  谷口慶子、太田珠子、小川昭、米谷よしの、佐藤信義、六谷識、谷口光一、千畑博保の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検第七八号、第七九号、第八一号、第八二号、第八五号ないし第九四号、第一〇六号ないし第一〇八号)

一  小笹善生、西田誠、藤田糺 戈辻進、吉村昌次、田鶴岩男作成の各供述書(検第七二号ないし第七七号)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(検第二〇号ないし第二三号、第二六号)

一  押収してある売上日報三綴(昭和五五年押第三三二号の一)、金銭出納簿三册(同押号の二ないし四)、定家売上帳一册(同押号の五)、ノート一册(同押号の六)

判示第一ないし第三の各事実につき

一  太田珠子、六谷識、篠原緑、山本美代子、江田久子、中川康子、本多保貞、宮達雄、山名健蔵、伊藤昇一郎、吉川一夫、岩井正美の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検第八三号、第八四号、第九六号ないし第一〇五号、第一〇九号ないし第一一二号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料付表(検第一六号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検第三四号)

一  大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高確認書と題する各書面(検第六四号、第六五号)

一  大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書と題する各書面(検第六六号ないし第七一号)

一  六谷識作成の確認書と題する書面(検第九五号)

一  京都地方法務局登記官作成の登記簿謄本(検第一一三号)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検第三号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第八号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検第一三号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検第二七号)

一  京都銀行西陣支店、第一勧業銀行烏丸支店、京都信用金庫梅津支店作成の各回答書(検第四四号ないし第四六号)

一  京都中央信用金庫西京極支店、京都信用金庫梅津支店、京都銀行京都駅前支店、京都銀行西陣支店、京都銀行大宮支店、協和銀行京都支店、大和銀行大宮支店、第一勧業銀行烏丸支店、富士銀行京都支店作成の各確認書(検第四七号、第四八号、第五〇号ないし第六二号)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検第四号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第九号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検第一四号)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(検第二四号、第二五号、第二八号ないし第三〇号)

一  京都中央信用金庫西京極支店、京都信用金庫梅津支店、京都銀行京都駅前支店、京都銀行大宮支店、協和銀行京都支店、大和銀行大宮支店、第一勧業銀行烏丸支店、京都信用金庫東山支店作成の各確認書(検第四八号ないし第五四号、第五六号ないし第六一号、第六三号)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検第三号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第一〇号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検第一五号)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(検第三一号ないし第三三号)

判示第四の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検第六号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第一一号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検第一七号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料付表(検第一九号)

一  京都地方法務局登記官作成の登記簿謄本(検第一一五号)

判示第五の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検第七号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第一二号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検第一八号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料付表(検第一九号)

一  京都地方法務局登記官作成の登記簿謄本(検第一一五号)

(法令の適用)

一  被告人株式会社岩井物産

判示第一ないし第三の各事実につき法人税法一六四条一項、一五九条

併合加重につき刑法四五条前段、四八条二項

一  被告人株式会社岩井物産サービス

判示第四、第五の各事実につき法人税法一六四条一項、一五九条

併合加重につき刑法四五条前段、四八条二項

一  被告人岩井彬

判示各事実につき法人税法一五九条一項

以上につき懲役刑を各選択

併合加重につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)

刑の執行猶予につき同法二五条一項

(裁判官 安原清蔵)

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